巨大投資銀行 (上) (ルビ:バルジブラケット)



巨大投資銀行 (上) (ルビ:バルジブラケット)
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投資銀行助産婦説
金融小説をここまで克明に、かつ迫力ある面白さで描ける筆力に驚いた。経験者だけあって金融商品の理解も的確で深く、一つ一つの金融事件を追った取材力も相当なもの。

物語は外資系投資銀行の草分けともいえる3人の日本人を主人公に、1985年から始まる。金融市場で外資参入が解禁され、急速にプレゼンスを高めていった背景には日本の不可解な市場慣行や財務行動があった。

外資系投資銀行は不動産や株価の高騰、海外企業や不動産の買収、国内での転換社債ブーム、更にはバブル崩壊後の損失先送り行動など、日本企業の弱点を探し出し容赦なくアービトラージしていく。日本国内ではこうした投資行動に批判的な言論が多いjのに対し、バブルの生成と崩壊は主に国内要因であり、その過程で株価調整や不良金融機関の淘汰という必要なアービトラージを手助けしたのが米系投資銀行だった、と、本書はいわば「投資銀行助産婦説」に立っているのだと思う。

3主人公の全盛時代の後には、欧州系や邦銀も同様のビジネスに参入し、また日本企業も賢くなって、余り儲からない時代がやってきた。本書はそれを竜神や藤崎の転身としてのみ描いている。できればサブプライムローンのように、米国が自らをアービトラージした時代まで書いてほしかった。

これが投資銀行だ!
投資銀行の中身を忠実に表している本で、こんなにダイナミックで
面白い本は今までなかった。いつか読もうと思っていたものの最近
まで読まなかったのを本当に悔やんでいる。
ストーリーはバブル崩壊前の1984年からりそなHG誕生の2003年(下巻含む)
までである。会社名もほぼ実名で出てくるリアルなストーリー。
バブル崩壊の様子も見ていて非常にスリリングだ。

本書のメイン登場人物はカバレッジ、トレーダー、セールスの投資銀行の
メインビジネスに関わる3人だ。これを読めば投資銀行が何たるか、何を
しているところなのかが分かり、まさにそこが本書のテーマでもある。
(今はこんな詐欺的ビジネスはしていないが…)

黒木亮は実際に投資銀行に勤務していたこともあり、描写が本当にリアル。
一気に読んでしまったし、下巻も心から楽しみにできる一冊。

これぞ本物の経済小説
物語は、日本の都銀から、外資系に移った桂木
金融工学を駆使して稼ぎまくる外資系の竜神を中心に描かれる。
この竜神というのは、ソロモンブラザースの明神茂氏がモデルであろう。

この小説を読むとどきどきする。
血が騒いでくる。

桂木も竜神も簡単にビジネスを成功させているわけではない。
悩み苦しみがあってのことだ。
そんな点も書いていることに心惹かれるのかもしれない。

著者は金融工学の専門家のため、難しいこともわかりやすく説明している。
バブル前後の時代を検証する意味でもいい作品だと思う。





やっと面白い経済教説に出会えた
今まで、いろいろな経済小説を読んできましたが、こんなものなら俺だって書けるぞ?みたいな小説しかなかったのですが、久々に面白かったです。ただ、竜神君と桂木君がいつ出会うのかな?と思っていたので…まあ、でもよかったです。今から、トップレフトを読みます。

巨大投資銀行の内側を活写した傑作

本書の主人公は、バブル全盛の1980年代から崩壊後の2003年までの20年弱に亘り外資系の投資銀行で腕をふるう3名の日本人だ。その3名を通じて外資系巨大投資銀行が日本のマーケットでどのように振る舞い、そして莫大な収益を上げていったのかが描かれている。背景となるバブル全盛期から崩壊までの金融界の状況は事実に基づいており、かつ日米の金融機関の大半が実名で描かれているため、事実とフィクションの境界が曖昧で、様々なエピソードの大半が実話に基づいているのではと思わせる迫力満点の作品だ。

主人公の一人である桂木は都銀を中途退職して米系巨大投資銀行に勤務するが、そこは気持ちが良いぐらいの実力本位・収益本位の世界であり、毎期の目標を達成すれば莫大な収入が得られる一方、成績不振者はすぐ首にされる。桂木はM&Aチームに属し当初は苦闘しながらも、バブル全盛期で海外のホテルや資産を買いあさる日本企業のM&A案件で着実な成果を上げて成功への階段を上り始める。

もう一人の主人公の竜神はソロモンブラザーズのトレーダーで、実在の人物をモデルしていると思われるが、裁定取引という当時の最先端の金融工学に基づいた手法で、日本国債などに投資して、野村證券などの日系証券会社を相手に圧倒的な収益を上げ、自身も莫大な富と名声を手に入れることになる。

これらの米系巨大投資銀行に対して日本の金融界は、M&Aの世界でも債権トレードの世界でも情けないほどに実力不足であり、野村證券やメガバンクも全く太刀打ちできない上に、特にバブル崩壊で含み損を抱えた中小金融機関がリスクの大きな損失先送り商品を売りつけられて、食い物にされる姿にはやるせない気持ちがしてくる。

本書を読むと巨大投資銀行が大きな力で世界の金融界を牛耳っていることがよくわかる。金融機関で働くことを志すものには必読の書だと思う(但し本書を読んでしまうと本邦金融機関に勤務する気はなくなってしまうかも知れないが)。

但しその一方で、収益至上主義がもたらすモラルの低下といった外資系投資銀行の弱点も描かれている。昨年来のサブプライムで本書のモデルとなった投資銀行は軒並み巨額の損失を計上して苦闘しているが、そのような状態に至る構造的な問題を内包していることも本書を読んでわかる気がした。




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