バリ島 (講談社現代新書)



バリ島 (講談社現代新書)
バリ島 (講談社現代新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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楽園イメージの創出過程

 1959年生まれの文化人類学研究者が1998年に刊行した本。ジャワを支配していたオランダは、19世紀末に北バリ支配を、1908年に全島支配を実現し、武力介入以前にオランダの統治権を認めたスカワティ家やカランガスム王家等は、植民地エリートとして発展した。オランダは支配の正当化のために、バリの「本質」をヒンドゥー的社会、平等な宗教的組織としての村落から成る社会として規定した上で、イスラム支配を免れたバリのヒンドゥー文化の保護、専制君主に対する村落の保護を掲げ、その理念をもとに機能的な統治体制を組み立てた。植民地政府と深い関わりを持つ芸術サークルの指導者モーエンは、バリの美学性・非西欧性・宗教性を強調し、「ジャワで失われたヒンドゥー的世界」をバリで維持しようとした。それは西欧的教育を受けた反植民地運動家への弾圧(ジャワのイスラム系ナショナリストとバリの切断、官僚化した旧王家の復活を通じた間接統治への移行)、バリ人の「バリ化」、観光開発(バリ文化の見世物化)政策と結び付いていた。他方ハーレム黒人運動や米国文化人類学と密接な関係を持つ、メキシコ人イラストレーター・コバルビアスは、ベストセラー『バリ島』(1937年)で、生活・宗教・芸術が一体化したバリ文化を商業主義や植民地主義から守る必要性を説いたが、それはオランダ語文献に依拠していたために、バリ社会の近代化への動きや植民地主義の分析を捨象し、「西洋が失った世界」を理想化し、「不変の伝統文化」にバリ島を固着させる新たなステレオタイプの創出を帰結し、彼自身そのイメージを用いた商品をニューヨークで売り出した。バリ人自身も資本主義への参加要求からそうした西洋的視線を自ら取り込み、自身の「伝統」の捏造に力を貸した。こうした戦間期の状況の中で初めて、現在流通しているバリの姿が実体化されていったのだと著者は主張する。

あまり一般向けではない

バリ島の文化を紹介する本は数あるが、バリ島がどのように世界の「観光地」の表舞台に現れたかを順を追って検証した稀有な本。
しかし、世間に流布するバリ文化幻想への反動か、著者のややシニカルな視点が気になる事、バリ島に対するイメージが作られる過程に重点を置き過ぎている事から、バリ島を知る一冊目の本としては薦めない。読み物というよりむしろ資料的で、バリ島についてコンパクトに網羅してあるかのような「バリ島」というタイトルから内容を連想して読むと肩透かしを食う。
定番のミゲル・コバルビアス著の「バリ島」を読んだ人か、ある程度バリを知った人、あるいは歴史的な背景を知りたい人が読むと楽しめるだろう。
バリ島の別の顔

バリ島に行ったことがある人、行ってみたい人におすすめです!
バリ島というとエキゾチックな観光地というイメージが強いですが、この本ではそういった人々が普段抱いているバリ島のイメージが
いかにして作られたのか、その経緯が歴史的な視点から書かれてます。
この本を読んでバリ島に対するイメージや見方がだいぶ変わると思いますし、また別の視点から、
バリの文化に深く接することができるんじゃないかなと思います。



講談社
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