「見る」とはどういうことか―脳と心の関係をさぐる (DOJIN選書 7)



「見る」とはどういうことか―脳と心の関係をさぐる (DOJIN選書 7)
「見る」とはどういうことか―脳と心の関係をさぐる (DOJIN選書 7)

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視覚情報が脳で処理されるしくみから、心とはなにかを追求する

大阪大学教授である藤田一郎氏が、視覚とその情報が脳内で処理されるメカニズムについて紹介した教養書。前半は視覚情報が実際に見えているものそのものではないことを、錯視などを例に紹介し、その機序について現在判明している知見へと進む。後半は現在進行形の研究結果や仮説を紹介し、意識(こころ)についての考察を紹介している。自身の講義内容を中心にしていて、わかりやすい文章を心がけているため、前半は中学生以上であれば理解可能。ただし後半の意識についての章は、不明な点や、一元的に説明できない複数の研究結果を述べていて非常に難解になる。

錯視を体験しながら学べる前半については文句のつけようがないほど面白く、教育効果は非常に高いと感じる。著者の教育者としての理念が理解できるつくりであり、学ぶ意欲を削がないように配慮していることが伝わってくる。複雑な視覚経路図などの説明も理解しやすい。難点は後半部分の難解さに尽きるが、これはニューロンの活動電位などの実験結果を直接述べるよりも、それから導かれる現象を例示するだけで十分であると思う。

難解な意識については著者自身が述べるように、多くのデータや意見が錯綜しているため、平易な文章で決着をつけることは困難である。前半だけでも買う価値のある書であるが、感銘を受けたのはあとがきにある2つのエピソードであった。書としての全体の完成度は完璧ではないが、現時点でこれ以上は無理なようにも感じる。後半を考慮すると評価は迷うが、星4つとするも、前半の面白さは圧巻で限りなく5つに近い評価である。参考図書である北岡明佳氏の錯視に関する著書と併読したり、ラマチャンドラン氏や池谷裕二氏の著作と併用すると、体系的な脳機能がイメージできると思う。
心脳問題の入り口へ導く

脳科学を「見る」と言う切り口で阪大教授の藤田さんが綴る。
著者が前書きで説明している通り、一般的に読みやすい章とかなり専門的で最先端な専門用語まで出てくる章が分かれています。
物質である脳が心を作り出すという「心脳問題」にも茂木健一郎さん同様、クオリアなどの概念を使って説明しようとしていますが、やはりご自身も心脳問題の難問は解けないのではというお考えのように思います。
まず、錯視現象という、網膜に映っている画像と脳で認識する画像の違いを実際の錯視図形を何枚も使い説明してくれます。そして脳科学ワールドに引き込まれていく。世界中の脳科学者がおそらく解き明かしたい謎だらけの分野について、脳に電極を挿したり、fMRIと言った最新鋭の機材を使ったりして解析するわけですが、さすがに一般人には咀嚼できない部分も多いように思います。
自分にとっては7章が非常に印象的でした。そして藤田さんの研究に対する真摯な態度が感じられます。多くの脳科学者は哲学や禅の分野にも興味があるとは想像はしてましたが、盛永宗興師の話がこの本の良さを輝かせています。ネタばれはよくないので詳しくは書きませんが、石仏は物質ですが、皆さん祈りますよね。
日本人著者による脳科学の希有の書

これはすばらしい。
視覚脳科学の本である。

前半では、錯視や脳損傷患者の症例などを見ることで、視覚世界、「見る」という行為のふしぎさを存分に味わえる。
さまざまな錯視図形、変化盲、半側空間無視だとか、無意識的推論、脳の不良設定問題などが紹介される。
後半は、脳研究の現場でなにが行われているのか、臨場感たっぷりに伝えている。
研究現場の話だからといって難解な内容ではない。
両眼立体視の著者らの研究の話などとてもおもしろい。
前半で味わったふしぎさとはまたひと味違い、知的好奇心を思い切り刺激される。刺激されっぱなしである。
きっとページを繰る手が止まらなくなるはずだ。

脳科学のなんたるか、視覚のなんたるかを読みやすく、しかしレベルを落とすことなく伝える希有の書である。
こういう本がもっと評価されるべきではないのか。
旗鼓堂々

「見る」ということを脳がどのようにして、行っているのかを
解説した良書だ。
視覚の謎について、平易な言葉によって説明しているので、一般
の人たちにとっても興味深く読める。

しかし、内容的には専門家でなければ十分に楽しめないと思われる
ところがあり、またそこが本書の要であると思われるにも関わらずだ。
専門家の意見を聞かないことには分からないが・・・・・
無論、難しい部分だろうが、そこが惜しい。



科学を誰もが楽しめる本

科学を題材にし、かつ一般向けの著書を執筆する事は非常に難しい様に感じる。
科学的に正しく厳密にすればするほど、内容は難しくなりがちで、一般の人にとっては敷居が高く読みづらい。
また逆に敷居を低くし一般向けにすればするほど、科学とは到底言えない読み物や娯楽になりがちである。
(2007年5月現在、amazonで"脳"で検索をかけると、後者がトップを独占している)

私もいくつか脳に関する著書を読んできたが、多くがこの両極端のどちらかであった。
しかし、この著書は非常にバランスが良く、ドキドキワクワク楽しみながら脳科学の知見を知る事が出来た。
特に最先端の脳科学を扱う内容は、著者もあとがきで書いている様に若干難しくなるものの、本当に驚きと好奇心を誘う物ばかりであった。

脳に興味のある高校生、大学生はもちろんの事、科学には疎いけど心や意識には興味が有るという方でも十分に楽しめ為になるオススメの一冊。



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