戊辰戦争メインで土方歳三を追う
試衛館時代も新選組時代もモチロンいいんですけど、やはり自ら陣頭に立って苛烈な闘いをみせてくれた戊辰戦争の土方歳三が見たい!という方には嬉しい一冊。幼少の可愛らしい歳さんや新選組の職務に徹した土方副長にも触れられていますが、ボリュームの八割ほどは戊辰戦争のエピソードですので、宇都宮の戦いや会津での養生、蝦夷での最終決戦がたっぷり堪能できます。 ただし戊辰戦争中心であっても、かっこいい戦いぶりよりむしろ、その心の襞を丹念に辿っています。土方歳三の激しい心の闘いを覗き見るといったほうがよろしいでしょう。 そうして描き出された土方さんはかなり繊細な人物像で、人恋しさに溢れていて、諸処に感傷的な葛藤が見え隠れします。 これを支えるのが、斎藤一です♪ 江戸以来の友人である斎藤一に寄せる本作の土方さんの信頼度は、試衛館同門の沖田総司と並ぶ絶大なもの。いや、それ以上といってよいかもです。 二人のやりとりは本作中最も頻繁に描かれていますし、定説はともあれ最後まで土方さんの下で共に戦う斎藤一は、かなり個人的ツボヒット! 土方さんの悩み苦しみを傍らでずっと見つめ続け、そんな弱さ脆さを抱えながらもまっすぐに己の生き方を貫こうとする土方さんに惚れ込んで、土方さんの信頼をしっかり受け止める斎藤一の姿には、思わず同調してしまいます。 土方さんの思いを継ぐ者として、最後まで美味しい存在でした。 こうして戊辰戦争の土方歳三をじっくり振り返ると、土方歳三らしい生き方の集大成は、やはり晩年の戊辰戦争にあったんだなぁと思います。 時代をどう生きるか、ではなく、人としてどう生きるか、ということを体現した彼の心の動きにどっぷり浸かれた一冊です。
アース出版局
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