緻密な検証による学術書と呼んでも良い好著
新撰組や土方歳三に関する何冊かの本を読んだ後に本書と出会った。読んですぐに感じたのは、著者のすばらしい事実検証による記述である。いままでの新撰組や土方歳三に関する通説に対し、多くの新しい見解を表明している。著者は作家というより学者と言った方が良いかも知れない。それほど、緻密に研究された書である。といいながらも読み始めるとどんどん引き込まれていく読みものとしての魅力も持っている。 すっかり土方歳三の魅力にとりつかれてしまったが、他の著者では満足できなくなってしまったのも事実である。今後の新しい著作を大いに期待したい。
へたな小説より土方の体温が感じられる一冊
ひじょうに知的、かつ読みやすい。 やはり、「センス」のある書き手に弱いのだ。 不精な自分がわざわざレビューを書きたくなる動機というのが、 内容に感動、あるいは感銘してという事が一番だが、文章、言葉のセンスもかなり重きを置く。「こいつぁうまい! 」という作家を見つけると、うれしくて泣けてくる。(サガか)この本の感想ということからすれば、少しずれているように感じるかもしれない。が、こうしたノンフィクション物こそ、読者を最後まで惹きつけておくには、内容もさることながら、それなりの力量がいるはずだ。菊地氏には明らかにそれがあると思う。最後まで面白く読め、かつ、最後には小説顔負けの血の通った『土方』像が、ちゃんと浮かび上がってくるのだから。 「石田散薬」「天然理心流」「豊玉発句集」・・・の興味深い説明。生い立ちから人間関係、京都での行動はもちろん、母成峠、箱館戦争等の戦いの記録、土方がもらした一言などなど、詳細に語られる。 小説ではないから、当然、残された史料、エピソード等から推し量り、真実の姿に迫ろうとする。時には、そりゃちょっと見方が厳しすぎるんじゃないかと、歳三ファンとしてはどきまぎとする分析もあるが、基本には「愛情」がある。 へたな小説より土方の体温が感じられる一冊だ。
「新撰組の生涯」
本書は、「土方歳三の生涯」となっているが、土方歳三というより、「新撰組の生涯」と言った方が妥当のように思える。 土方歳三、新撰組に関しては、数多くの本が出版されているが、本書は小説というより歴史書に分類されると思う。膨大な文献や資料をきちんと整理判断し、写真地図などを効果的に使用し読者に真実を伝えてくれている。 土方歳三、新撰組の歩んだ歴史の真実を知りたい方にはお薦めの一冊である。
新人物往来社
土方歳三―新選組の組織者 (KAWADE夢ムック) 土方歳三散華 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ) 新選組100話 (中公文庫) 地虫鳴く 新撰組 永久保存版―総特集 幕末に咲いた滅びの美学 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
|