土方歳三の日記



土方歳三の日記
土方歳三の日記

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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著者は新選組研究者。その研究論文14本をルポ風にまとめたのが本書。仙台市博物館で発見した土方歳三の手紙についての「憂愛人 土方歳三」、映画『御法度』で有名になった加納惣三郎の実在を追求した「加納惣三郎伝説」など、いずれも新選組の真偽が曖昧な史実に関する考察である。本書の巻頭を飾り、タイトルにもなっている「土方歳三の日記」は、故郷に土方歳三自身が送ったという記録が残りながら、消息不明となっている日記が主役である。

著者は昭和18年8月に刊行された雑誌「新風土記」に、多摩地区の郷土史研究家が寄稿した新選組に関する論文を見つける。そこには、まだ名前も決まっていなかった新選組が、後にスポンサーとなる松平容保の御前で上覧試合を行った事実と、そのときのメンバーおよび対戦の組み合わせが書かれていた。そして、そこになにげなく掲載された土方歳三の手記こそが、幻の日記からの丸一日分の引用ではないかと気づく。著者はその内容を分析し、当日の対戦の様子を推理、隊士たちの行動も検証し、その記事がまさに土方歳三の日誌から引用されたものであると結論づける。幻の日記を、昭和初期の郷土史研究家が読んでいることに快哉を叫びながらも、それがいつの日にか世に出てくれることを願って著者の考察は終わる。

新選組の本としてもおもしろいが、著者の感情が行間からにじみ出て、まさに史実研究の醍醐味を存分に伝えてくれる1冊である。(鏑木隆一郎)



これって五島勉スタイル?

筆者がこの著を記した時点では、土方歳三の日記は発見されておらず、これは五島勉が確立し「と学会」により指弾されたあのスタイルではないか!?
しかし、その対象と読者に対する誠実さが180度違っているのでご安心を。読者を引っ掛ける方便としてでなく、著者自身が求めて止まない愛しき対象として「土方歳三の日記」が語られていくのである。

『燃えよ剣』以降の硬直でやや過大評価気味のある、土方歳三を当時の資料に沿って解きほぐして行くときの著者の眼差しはあくまで真摯で、土方の人間的な振幅の激しさとそれゆえの魅力を見事に描くことに成功している
以前の僕にとっての土方俳優は古谷一行が一番であったが、山本耕史があっさりとその座に着いたことをこの本を読んで深く納得した。
衝撃的な一冊

「土方歳三の幻の日記を発見」のオビにぐららっときて買いました。

しかし残念ながら存在するという事はわかっても、日記の発見に至ったわけではなく、今回伺い知れたのは日記から一部抜粋したと思われる他人の記事です。

土方さんの日記、というとどうしても土方さん自身の日常を垣間見られるのでは♪と心浮き立ってしまう悲しいファン心理は、本著に興味をお持ちの皆さまなら同様だと思いますので、早合点なさりませんようご注意を。

そうはいっても、そのたった一部から執念深く突き詰め広げて行く筆者の情熱と土方さんへの格別の思い入れはひしと伝わって来て、大変衝撃的な一冊に仕上がっています。問題部分を関係者の遺した日記や手記からじっくり検証し、事実関係を明らかにしていく過程はどききしました。

現物がない分、ここでは土方さんの人柄に触れつつ、そこに関わって来る新選組隊士のエピソード満載なので、マイナー嗜好な自分的には嬉しい誤算?でほくほく。

中でも一番興味深かったのは、斎藤一さんエピソードですね。斎藤さんに心酔してた隊士の話、結構ツボでした。やっぱり新選組は面白いです。色んな人がいて、色んな話が転がってて、興味は尽きません。最後の項で「加納惣三郎伝説」と題してアイドル惣三郎についての考察がなされているのも、サービス精神たっぷりで楽しめる構成ではないでしょうか。

いつか永倉新八さんの「浪士文久報国記事」のように、願わくば生きてるうちにいつか土方さんの日記なるものがその全貌を現わしてくれる事を、著者とともに思わず祈ってしまう一冊で!す。



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