三国志〈6の巻〉陣車の星



三国志〈6の巻〉陣車の星
三国志〈6の巻〉陣車の星

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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王覇論議は無用

13巻は長かった。1度挫折していたんだが、くやしいのでもう一度挑戦した。後半、飽きてきてどうでもよくなったが、辛抱強く最後まで読み切った。

これが「三国志」じゃなきゃすばらしい作品なんだろうなあって思う。あくまでも北方さんの「三国志」なんだ。

いいところをあげればきりがないほどたくさんある。まず、戦闘シーンの臨場感・躍動感がすごい。呂布が率いる黒い騎馬集団の表現などは圧巻だ。また、心理描写もリアリティたっぷりで、さらに男気に感じさせられて涙ぐむところもあった。特に、キャラクターが死を迎える時の内的な独白がよかった。

しかし、それもくりかえされると冗長な感じが否めないのと、王覇思想に関心があるのか、そこら辺の議論がうっとうしかった。中国は覇道の国、日本は王道の国、革命を繰り返した民族と万世一系の民族では思考の根っこが違うはず。漢王室の血が400年を経て特殊なものとなり、1000年を過ぎれば神になる的な発想自体が日本的で、この小説にはそぐわない気がする。この議論は日本の皇室のものだからだ。

吉川さんの三国志には遠く及ばない気がする。
北方版「三顧の礼」!

 ついに孔明登場。このまま土にまみれて一生を終えるのか。劉備の訪問は、孔明の心底に燻っていた火種を煽ります。

 この北方三国志では、「超人孔明」ではなく、いい意味で人間臭い孔明が見られます。自ら剣を持ち、頭から血をかぶって、その興奮で酒を三、四杯あおる孔明は他にないのではないでしょうか。しかも、この孔明は結構悩むのです。「この孔明が臣となったからには、劉備様には必ず覇者となって頂きます」と言い切りながら、初めて立つ戦場への怯えがあり、今まで頭の中でしか考えてこなかったことが、本当に現実に当てはまるのかという不安もある。悩める孔明の葛藤と成長も、北方三国志の魅力の一つでしょう。

人間、孔明。

いよいよ登場の孔明ですが、私が興味を引いたのは孔明のもろさですね。どうしても孔明という大人物を神さまのように書きたくなるんですが、ここでの孔明は人間なんですね。弱い部分もある人間なんです。そんな男の成長もあとの巻で見れます。
孔明登場!

全13巻からなる北方謙三氏による「三国志」シリーズの第6巻です。この類のシリーズ物は、往々にして第1巻が最も面白く、その後、面白さが減じていくことが多いのですが、このシリーズについては、戦国の英雄たちが全国各地に百花繚乱し、時に争い、時に連合し、天下を目指すという駆け引きを読んでいるだけで、サスペンス的面白さも加わり、あきさせません。また、この巻からは有名な諸葛孔明という新たな登場人物も加わり、新たな展開が期待できます(どの陣営に加わるかは、未読の方もおられるでしょうことからあえて触れません)。
三国志の面白さに、北方ハードボイルドの面白さが加わった面白いシリーズです。
やはり孔明でしょう。

やはりこの巻の見せ所は、孔明の活躍です。
三国志の影の主役だけあって、満を持しての登場ですが、
そこは北方謙三氏、既存の三国志とは違うところを見せてくれます。
劉備が三顧の礼を尽くすまでに至った心情の動き、
孔明がそれに応えるまでに至った思考の変化。
歴史からここまで創造でき、ここまで心の動きに注目した三国志はないでしょう。



角川春樹事務所
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