三国志〈8の巻〉水府の星



三国志〈8の巻〉水府の星
三国志〈8の巻〉水府の星

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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王覇論議は無用

13巻は長かった。1度挫折していたんだが、くやしいのでもう一度挑戦した。後半、飽きてきてどうでもよくなったが、辛抱強く最後まで読み切った。

これが「三国志」じゃなきゃすばらしい作品なんだろうなあって思う。あくまでも北方さんの「三国志」なんだ。

いいところをあげればきりがないほどたくさんある。まず、戦闘シーンの臨場感・躍動感がすごい。呂布が率いる黒い騎馬集団の表現などは圧巻だ。また、心理描写もリアリティたっぷりで、さらに男気に感じさせられて涙ぐむところもあった。特に、キャラクターが死を迎える時の内的な独白がよかった。

しかし、それもくりかえされると冗長な感じが否めないのと、王覇思想に関心があるのか、そこら辺の議論がうっとうしかった。中国は覇道の国、日本は王道の国、革命を繰り返した民族と万世一系の民族では思考の根っこが違うはず。漢王室の血が400年を経て特殊なものとなり、1000年を過ぎれば神になる的な発想自体が日本的で、この小説にはそぐわない気がする。この議論は日本の皇室のものだからだ。

吉川さんの三国志には遠く及ばない気がする。
揚州の華

 周瑜。揚州の華。咲き誇り、枯れて散った大輪の華。
 痛ましいまでに壮絶な周瑜の死です。文字通り、血を吐くような無念の想いが、行間の端々からにじみ出ていました。

 「華であったな、大輪の。しかし、咲いたら散り、枯れゆく華だったのだろう。冬に散り、春に芽を出す。それができないからこそ、見事な華だったのかもしれん」
 全編を通して、もっとも好きな曹操のセリフです。
 曹操は敵である周瑜の死を喜びはしなかった。この国は惜しい男を失ったのだと。それは孔明とて同じ。「周瑜という男がいた。それは忘れられない」。孔明の頬をつたう涙はとてもきれいだったと思います。
 
 そして、この巻で描かれるもう一つの衝撃の死。曹操と共に覇道を歩んできた荀イクの死。曹操の覇業の完成を切望しながらも、信念において決して曹操とは相容れなかった荀イク。しかし、その死を必然と呼ぶには、あまりに愛しい存在。曹操に「わが子房」と賞された荀イクと曹操の悲しき結末です。


死に様に注目

この巻は周瑜の死が一つのポイントだった。予想と異なってある種爽やかに死を受け入れていく周瑜が印象的だ。



角川春樹事務所
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