三国志〈第4巻〉



三国志〈第4巻〉
三国志〈第4巻〉

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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“宮城谷三国志”はやはり一味違う

今回は孫堅が黄祖に倒されるところから、董卓が死に、献帝が長安を脱出するところまでです。
しかし長い。
ちなみに吉川英二氏の三国志(全8巻)では、このくだりは2巻目の前半に位置するから、この調子だと...
“全17巻!!”
すると1巻1年として、17巻目が出るのが...平成30年。
果たして生きてるうちに最終話が読めるのだろうか?

今巻からは三国志ファンには馴染みの人が続々と登場してきますが、三国志を読み飽きた方のために、宮城谷版の違いは、
1.「鮑信」「賈ク」「王允」というような人物の章立てがあり、それはあたかも水滸伝のような感じで準主役級が颯爽と登場してきます。しかもストーリーの連続性は確保されており、なんか新鮮です。
2.三国志は登場人物があまりに多いため、各自の晴れ舞台が終わると忽然と消えてしまうことも多いのですが、今のところ死や没落までが丁寧に描かれています。
3.調査した史実を整理してストーリーを展開しているいつもの作風のようで、演義でおなじみの桃園の誓いとか関羽が華雄をバッサリなーんてなのは出てきません。
三国志演義のファンには戸惑いの多い展開が続きますが、それでも再発見の多い良書ではないでしょうか。
困窮の時間をどうすごしたかが人の成否を決める

第一期(第一巻?第三巻)が刊行されてから早二年、ようやく第二期(第四巻?第五巻)が刊行されました。待ちに待ったという感が強いです。

今まで「三国志」と言っても「三国志演義」で、日本人の平均的な感覚と同様、劉備が中心で曹操は敵役で、余りよく知らず良いイメージを持っていませんでした。この宮城谷「三国志」を読んでいると、そうした今までの先入観が一挙に覆される感じがします。それだけ歴史の捉え方というものには、幅があるのだなという思いを改めて感じています。

第四巻は、中央では董卓が殺され混迷を深めている一方で、曹操はエツ州の統治を始め、黄巾の乱を制し、しっかりと足下を固め、次の飛躍に向けての準備が着々と進んでいます。とは言うものの、その間には「死」の直前にまでいったり、呂布にエツ州を奪われそうになったりします。それでも、全般的には、宮城谷氏の語り口は曹操に優しく、彼の人を見る目の確からしさ、人物の大きさを語ります。
一方、劉備はようやく徐州に迎えられ、全国に名前を知られるようになりました。
この巻では、「人にはどうにもならぬ衰運のときがある。身動きさえできぬ困窮の時間をどうすごしたか、ということが人の成否に大いにかかわりがある。」と言うところがポイントでしょうか。

いよいよ次巻からは、曹操の大躍進の時代が始まりそうです。



文藝春秋
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